2022年4月27日 商品先物 天然ガスと1963日揮HD、6366千代田化工建設

商品先物

天然ガス

昨日、ロシアがブルガリアとポーランドに対して天然ガスの供給を停止することを発表した。ブルガリア政府からは実際に供給量が低下していると述べている。欧米の経済制裁以降、プーさんは天然ガスのルーブル払いを要求しておりブルガリアとポーランドへの供給停止はこれらが原因だとみられている。

天然ガス市場はこれらの材料に対して反応しているところはみられない。一方で欧州は天然ガスをLNGの形で米国に依存している。LNGの輸出には多額の投資が必要であり、米のLNG施設は稼働率がピークに達しているとみられる。つまり米国にはこれ以上LNGを輸出する能力がなく、さらに欧州に輸出するためにはLNG施設への投資が必要だ。一方でこれらの施設に投資を行うことは、民主党政権の政策である脱炭素に反する。また2010年代の過剰投資によりエネルギー価格の下落を招いた教訓から米エネルギー業界は投資を行うことを恐れており、何より投資家がそれを認めない状況となっている。

5月に入るこの時期にしっかりと天然ガスの在庫を積み増しすることが冬場の暖房需要への備えとなるのだが、米は寒波にみまわれており非常に寒い。この寒さは穀物の作付けにも影響し将来的な作柄悪化や収量低下を招く。まとめるとこれらのファンダメンタルズは商品市場全体の上昇につながりかねない。

WTI原油

原油は現在のところ堅調に推移している。API在庫統計では原油在庫は積み増しされていた。積み増しがあったが原油価格は底堅く推移している。EIA在庫統計でも積み増しされている可能性が高い。昨日述べたようにジェット燃料の需給が逼迫しており、これは原油価格の上昇にもつながる。特に東海岸の在庫は非常に低水準だ。5月に入るとドライブシーズンでガソリン需要が増えてくる時期だが、ジェット燃料の需給が逼迫しているのは異常と言えるだろう。原油からこれらは精製されるわけだが、ドライブシーズンに向けてガソリンを精製し積み増ししなければならない一方でジェット燃料も精製しなければならない。どちらにしろこれらは底堅く推移することが考えられるだろう。

逆のシナリオを考えると、インフレにより家計と企業業績が悪化し経済の停滞が思ったより早く起こったときは景気の悪化によるエネルギー需要の低下により需給逼迫が解消されるシナリオだろう。


source: tradingeconomics.com

ただしミシガン大学消費者態度指数はここにきて反発しておりいつ景気が悪化するのかは指標次第だろう。

ロシアの状況

ロシアの生産は徐々に減ってきているようだ。ウラル産原油の競売がなくなったりタンカーがキャンセルされたようだ。欧州がロシア産の原油に経済制裁をいつ行うのかに注目だ。ドイツなどは積極的に脱ロシアを進め、ロシア産のエネルギーへの依存度をかなり下げてきている。ロシア軍による戦争犯罪が報道されている現在、欧州はいつ経済制裁を強化しても不思議ではないだろう。

株価とマクロ

昨日は長期金利が低下したがNASDAQも大きく下落した。引け後にはgoogleとmicrosoftの決算があったがgoogleはコンセンサスを下回り、microsoftはコンセンサスを上回った。今回の企業業績はコンセンサスが景気悪化を織り込み少し下目の予想をしているのだが、それでもこの水準であった。足元の経済指標の悪化はみられていないが、企業業績は明らかに悪くなりつつある。

また米の住宅関連の指標は住宅価格やローン申請件数を始めとして下がり始めている。FRBは経済に対して強気の姿勢を崩していないが、イールドカーブのフラット化や逆イールド化したように債券市場は景気が悪化するとみている。

現在はインフレを抑えるため金融引き締めをせざるを得ず、FRBのカンフル剤は期待できない。いずれにしろ景気悪化の指標がでてきた段階で株式市場はそれを本格的に織り込みに入る可能性があるだろう。現在はまだそこまで織り込まれていないのではないか。

日揮HDと千代田化工建設

以上のファンダメンタルズから日本の個別銘柄に目を移すと日揮HDや千代田化工が鉄板か。実はLNGプラントの世界シェアの7割は日本企業であり、日本企業で双璧をなすのが日揮HDと千代田化工である。

LNGプラントは投資を決めてから完成するまで長い年月がかかる割に設計ミスや見積もりミスなどリスクも大きい。また短期的にはロシアへの経済制裁で天然ガスが不足することが予想されるが、脱炭素の流れがオワタわけではない。しかし原油と違い天然ガスはクリーンエネルギーに位置づけられており、米国では上流投資が2010年代後半の水準まで戻ってきている。

足元のファンダメンタルズをざっとまとめると

  • 現在の米LNG輸出施設はトランプ政権が推進したもの
  • バイデン政権は脱炭素を掲げLNG施設への投資には消極的
  • 現在の米LNG輸出施設はフル稼働に近く輸出増加の余地はあまり残っていない
  • 日本企業は世界のLNGプラントでシェア7割を誇っている
  • 日揮HDと千代田化工建設が双璧

どちらも直近の底値から1.5倍程度になっている。こういうのを反射的に買える人って株式投資歴が相当ながくて企業のファンダメンタルズを理解している人だなと思う。そういうのも含めて株式市場はゲーム性がある。