トビラシステムズ(4441)の株価は今後どうなるのでしょうか。実はトビラシステムズは非常に高い成長率を誇っています。

2017年10月期から2019年10月期における成長率は下記です。
売上高成長率 +29.5%
営業利益率 +48.75%
経常利益率 +46.1
このようにトビラシステムズ(4441)は非常に高く成長しています。
この記事では高く成長しておりテンガバーの可能性もあるトビラシステムズ(4441)について分析しています。
トビラシステムズとは?
トビラシステムズ(4441)は次の2つの事業を行っています。
携帯電話の迷惑情報フィルタ事業
HP制作運営システムの事業
迷惑情報フィルタ事業とは下記です。
迷惑電話番号を拒否,警告するシステム
着信があった場合、アルゴリズムから着信元の会社名を表示するシステム
自分のスマホを通信量会社もちとして使える「トビラフォン Cloud」
各大手通信キャリア(docomo,au,softbank)のオプションパックとして、採用されています。つまり携帯電話を購入する際に加入することができる迷惑電話を拒否するシステムです。

このようにトビラシステムズ(4441)がサービス利用者や警察、自治体からの情報提供をうけてフィルタリングを行い、未然に詐欺や迷惑電話を防ぐ仕組みです。
四季報の情報

時価総額も166億円と成長の余地がありますし、今期は初配当の予定です。成長とともに増配も期待できる企業です。
トビラシステムズ(4441)の直近の動向
トビラシステムズ(4441)の直近の動向について見ていきます。

2020年10月期第1四半期の売上は計画どおり進捗しています。
トビラシステムズ(4441)の扱う商品サービスの性質上、ストック型ビジネスなので4半期ごとに積み上がる仕組みです。
2019年11月〜2020年1月の数字なのでコロナショックによる影響がほどんど織り込まれていないことに注意してください。
後述しますが今年の3月にテレワーク向けにトビラフォンcloudをリリースしています。

トビラシステムズ(4441)は迷惑情報フィルタ事業が主力の事業で、さらにモバイル向けが中核を担っています。前年比同期比で+20%以上の売上を記録しており、堅調に推移していることが読み取れます。

事業拡大に伴い本社を移転していますが販管費は前年同期比で減少しています。
コロナショックの影響について
5月に入り続々と各企業の決算がでてきています。トビラシステムズはコロナショックの影響を受けているのでしょうか。

上記の資料が公開されたのは2020年3月10日頃です。したがってコロナショックの影響を完全に織り込んではいない可能性もあります。
しかし資料のとおり、トビラシステムズ(4441)の売上は海外に依存していません。またコロナショックによる巣篭もりでスマホを始めとする情報端末を触る時間が増え、むしろ利用者は増加しているかもしれません。
次回の決算は中間決算で6月中旬ごろを予定しています。
トビラシステムズ(4441)の事業
前述したようにトビラシステムズ(4441)の事業は大きく次の2つにわけられます。
迷惑情報フィルタ事業
HP制作運営システムの事業

迷惑情報フィルタ事業のモバイル向けフィルターサービスはトビラシステムズ(4441)の中核事業です。売上構成比では7割を超えていますね。
はっきりと書かれていましたが、売上の1割を占めるホームページ制作運営支援システムは積極展開しないとしています。
順番にみてきましょう。
迷惑情報フィルタ事業
迷惑情報フィルタ事業とは迷惑電話を未然に防ぐシステムです。携帯電話ではアプリをインストールすることにより導入ができます。固定電話ではトビラフォンとよばれる装置を設置します。

迷惑情報のフィルタリングは社会が必要としているシステムです。なぜなら迷惑電話(詐欺)は年々増加傾向にあり、被害額も数百億を超えているからです。

コロナショックでも詐欺の電話が増えたとの報道がありました。東日本大震災時も詐欺の電話が増えるなど社会問題化しています。トビラシステムズは迷惑情報フィルタをもちいて社会の課題を解決する企業と言えるでしょう。
迷惑情報フィルタ事業におけるトビラシステムズ(4441)の強みと参入障壁

トビラシステムズの(4441)の強みとしてはデータの蓄積によるアルゴリズムとフィルタリングの強化です。月間利用者数が約600万人と膨大なデータが日々蓄積されています。
これにより事実上競合がなく高い参入障壁があります。すでに携帯キャリア(docomo,au,softbank)を抑えており、アプリで紐付けされているので更に参入障壁は高いです。
競合の可能性があるとすれば下記が挙げられます。
各キャリアが独自で開発スタート
サードパーティによる完全無料のフィルタリングサービスの参入
iphone(siri),android(googleアシスタント)などが標準でフィルタリング機能搭載
開発力や親和性を考慮すると「iphone(siri),android(googleアシスタント)などが標準でフィルタリング機能搭載」が一番可能性がありそうです。

各キャリアに展開している強みを活かし、9億件以上のデータを蓄積しています。特許も13件取得するなど障壁を高くしています。
迷惑情報フィルタ月間利用者数の推移

迷惑情報フィルタの月間利用者数は右肩上がりです。グラフにすると顕著ですが、増え方が尋常ではないですね。^^;
トビラシステムズ(4441)の業績が2ケタ成長しているのも納得できます。2020年1月末時点で約596万人となっています。
3大キャリアと組んでの取り組みの結果ですね。今後は楽天も追加されるのでしょうか。ちなみにauでは昨年から端末にプリインストールされた状態で提供しているものもあるそうです。
docomoはセキュリティ総合システムの中に組み込まれています。
softbankについてもトビラシステムズが迷惑情報フィルタサービスを提供しています。
モバイル向け迷惑情報フィルタサービス
ここからはモバイル向け迷惑情報フィルタサービスについて解説します。

各キャリアごとに専用のアプリが容易されています。これにより着信時にフィルタリングを行う仕組みです。

キャリアの専用アプリではなくトビラフォンモバイルからも同様のサービスを受けることができます。
出典:トビラシステムズHP
モバイル向けフィルタのビジネスモデルについて
モバイル向けのフィルタは携帯キャリアと提携しエンドユーザーに届けています。したがって各携帯キャリアがトビラシステムズ(4441)の変わりに営業、エンドユーザーの獲得、料金の回収を行ってくれる形です。
非常に上手な仕組みのビジネスモデルです。

携帯キャリアは他のアプリと組み合わせてオプションパック化し、携帯電話販売時に説明、販売を行います。トビラシステムズ(4441)は携帯キャリアからライセンス費用をもらう形ですね。
携帯キャリアとの契約パターン

モバイル向けのフィルタには次の3つの契約パターンがあります。
固定契約
契約者数×単価
月間利用者数×単価
順番にみていきましょう。
固定契約
固定契約とは契約者数や利用者数に関係なく一定額入ってくる契約です。つまりキャリア側は利用者が増えても増えなくても一定の額をトビラシステムズに支払う必要があります。
逆にトビラシステムズ側は安定した収益を上げることができますが、利用者が増えるとともにサーバー等の管理費を圧迫するリスクもあります。
契約者数×単価
この契約モデルはキャリアがオプションパックを販売した契約した数によって売上が変動する契約です。
トビラシステムズのサービスを単体で販売しているわけではありません。キャリア独自のオプションパックとして提供しているアプリに含まれています。
キャリア側としても質の高い迷惑情報フィルタをエンドユーザーに提供でき、オプションパックの契約ができると売上増につながります。お互いwinwinなビジネスモデルです。
月間利用者数×単価
単純に月間の利用者数に連動した売上をもらう契約です。シンプルでわかりやすいですね。
各携帯キャリアはトビラシステムズとどの契約をしているのか
3つの契約モデルを紹介しました。トビラシステムズは各携帯キャリアごとに違う契約をしているようです。各携帯キャリアとはdocomo、au、softbankです。トビラシステムズのHPやIR情報からトンセイがたてた仮説は下記です。
docomo 月間利用者数×単価
au 固定契約
softbank 契約者数×単価
auの携帯には最初からプリインストールがされてるの固定。
残るはdocomoとsoftbankですがsoftbankが提供している迷惑電話ブロックアプリはsoftbankのiphone基本パック、もしくはスマートフォン基本パックへ加入すると無料で使用できます。
それに対してdocomoが提供している迷惑電話ブロックアプリはdocomo安心セキュリティに統合されていて、利用にはdocomo安心セキュリティの契約か課金が必要です。
トビラシステムズ(4441)のビジネスモデルは携帯キャリアが変わりに営業を行ってくれます。したがって各キャリアの携帯電話のシェアと契約モデルは、トビラシステムズの今後の成長を考える際、考慮するべき点かもしれません。
モバイル向けフィルタにおける売上構成

前述した仮説に基づくと売上構成は次のようになります。
softbank >> au >> docomo
ちなみにトビラシステムズHPのサービス紹介ページの並び順もsofbank、au、docomoとなっています。仮説は正しいかもしれませんね^^

仮説はさておき、すべての契約モデルにおいて月間利用者数が対前四半期で伸びています。スマホは現在の我々の生活になくてはならないものです。したがって今後も継続して利用者は増加すると考えられます。
我々の生活からスマホがなくなるのは随分先かと思います。
モバイルむけフィルタサービスの市場規模について

追加料金を支払うことなくトビラシステムズ(4441)のフィルタを受けられる利用者は3800万人以上いるそうです。追加の費用を支払って加入するユーザーも考慮すると膨大な市場がありますね。
将来的な売上予測
以上から次の単純計算ができます。
981*0.75÷3.37≠218
218*4,400万÷0.7=約137億0285万
現在の客単価をセグメントの売上や通信キャリアの割合が同じと仮定した場合の将来的な売上の推測です。
4,400万のエンドユーザーを得た場合は約137億0285万の売上になります。
2019年第4四半期の数字から計算しているので数字の誤差は随分とあるでしょう。しかしトビラシステムズ(4441)の事業は大きく成長が見込めることは理解出来ると思います。
固定電話向け迷惑情報フィルターサービス
固定電話向けの迷惑情報フィルターサービスは下記です。

通信事業者のホームゲートウェイに迷惑情報フィルタが内蔵されています。着信があった際にフィルタをかける仕組みです。
モバイル向けと比較して固定電話向けは展開しているのがKDDI系列の2社にとどまっています。
固定電話むけのフィルタサービスのビジネスモデル

モバイルむけのフィルタサービスと似たビジネスモデルとなっています。通信事業者にサービスの提供を行い、通信事業者はフィルタサービスをオプションパック化します。
オプションパック化したものをエンドユーザーに販売する仕組みです。
固定電話むけのフィルタサービスの市場規模

固定電話向けのフィルタサービスの利用者は約32万人です。それに対してオプションパックの潜在契約者数は約1,620万人と成長余地がかなりあります。
固定電話の利用者は年々減っていますが成長の余地はまだまだありますね。
ビジネスフォン向けフィルタサービス
ビジネスフォン向けのフィルタサービスは下記です。

迷惑電話を自動で拒否したり、無駄なセールス電話に対応する時間を削減できます。これにより生産性の工場が見込めます。また通話録音機能があり、電話に関する様々な面で役立ってくれるでしょう。
ビジネスフォン向けフィルタサービスのビジネスモデル

販売代理店が端末を販売し、法人からライセンス料をもらう仕組みです。どのような契約かわかりませんが、月額ライセンスの5~6割程度を販売パートナーにわたす仕組みにすればこちらも広がる予感があります。
またフィルタサービスのデータの蓄積により登録されていない番号でもどこからの着信なのか表示できるようにすればエンドユーザーの利便性はあがりますよね。
モバイル向けフィルタサービスで7割以上の安定した収益を確保できているのですべての法人に導入を目指す勢いで事業展開をするのも面白いかもしれませんね。
この業界は全くの無知なのでまちがっていたらごめんなさい
将来の成長のための投資「トビラフォン Cloud」とテレワークへの対応
今年の3月末に下記サービスの提供を開始しています。

自分のスマホを通話料会社持ちの社内電話として使える
スマホにアプリをインストールするだけで「050」から始まるIP電話を利用でき、ビジネスフォンの(内線、保留、転送など)を利用できるようです。
テレワークではビデオ会議のシステムや業務の自動化が注目されていますが、こちらも需要のありそうなサービスですね。
内線の電話を転送するには設備投資として初期費用がかかりますが、トビラフォン Cloudはすべてクラウドで完結するので初期費用がかかりません。
外出時やテレワーク時でも速やかに転送できるのは素晴らしいです。

① テレワークにぴったり!社内外どこにいても内線・外線が利用可能!
② PBX 装置や配線工事が不要でコスト削減。申込の最短翌日から利用可能!
③ プライベート番号と社用 050 番号の通話料を分けられて、社員の不満も解消!
④ 約 100 時間分の通話録音機能で聞き逃し防止。士業やコールセンターにもオススメ。
⑤ 不要なセールス電話を遮断する「迷惑情報フィルター」搭載で、業務効率もアップ。
出典:トビラシステムズ HP
中長期の成長イメージ
中長期の成長イメージとしては下記です。

モバイル向けは年間30%以上の成長、固定電話向けは25%の成長を目指しています。新規展開をはじめたトビラフォン Cloudは毎年200%以上と非常に野心的です。
一方ホームページ事業は新規開拓を停止するようです。経営資源を集中するのは理にかなっていますね。
売上高の推移
ここからは売上や財務の状態をみていきましょう。
通期業績推移

冒頭で解説しましたが非常に高い売上高の伸びと高い営業利益率を記録しています。売上高は2年で2倍と急成長しています。時価総額は166億なので投資妙味があります。^^
私は個別銘柄に投資を行う際、営業利益率を非常に重要視します。なぜなら利益率の低い企業は自己資本の蓄積が少なく、外部から資金調達をする必要があります。
自己資本の蓄積が遅いことは成長スピードがそれだけ遅くなることを意味しています。
財務の健全性とキャッシュフロー
企業の財布事情をはかる財務の健全性は下記です。
自己資本比率(%) 82.7%
流動比率(%) 400.71%
当座比率(%) 393.47%
超がつくほどの優等生な財務事情です。これにはバフェットが米国株の航空関連銘柄をすべて売り払った時くらいびっくりしました。
キャッシュフロー推移

データが2017年以降のみですが、非常に安定したフリキャッシュフローです。安定してキャッシュを生み出せるビジネスモデルを構築した明田篤社長の見事な手腕が光りますね。
元々は明田社長の祖父が原野商法と呼ばれる価値のない土地を売りつける悪徳商法に引っかかったことが迷惑情報フィルタシステムを開発するきっかけだったようです。
世の中の不を解決する素晴らしい取り組みです。
配当額と配当性向

2020年10月期から株主還元を実施する見通しです。四季報によると配当性向の目安は35%程度と問題のない水準ですね。
株価の推移

コロナショックで底打ち後は緩やかに上昇傾向にあります。マザーズ指数はコロナショックの底値から8割程度回復しています。
トビラシステムズ(4441)は回復が遅れている銘柄の1つで投資妙味があります。
潜在的なリスク
直近の決算が2020年3月10日とコロナショックの影響を織り込めていない可能性がある
参入障壁の高いビジネスモデルだが通信キャリアが独自サービスを展開した場合
Apple,googleなどモバイルデバイスに組み込まれているAIにフィルタリングサービスが搭載される
技術の発展により電話関連の詐欺がなくなるケース
電話という概念がなくなるケース
5つほど挙げてみましたが、コロナショックの影響を織り込めていない可能性が一番のリスクです。
またappleやgoogleがiphoneやandroidに標準で搭載しているAIにフィルタリング機能が付与される可能性もあります。
まとめ
トビラシステムズ(4441)の営業は通信キャリア(docomo,au,softbank)
参入障壁の高いビジネスモデル
盤石な財務状態と高い成長をつづける売上高と営業利益
トビラシステムズ(4441)は通信キャリアが営業を行ってくれるビジネスモデルを構築しています。また長年のシステムの運用により10億件に近いほどの膨大なデータが蓄積されています。
今後競合が参入するとしても、トビラシステムズのデータ量に勝てるのは通信キャリア(docomo、au、softbank)かapple,google程度と考えれます。このストーリーが崩れたときには要注意です。
財務状態も非常に良好で売上高と営業利益は前年比2ケタ成長を続けています。もちろん純利益も2ケタ成長を続けています。
以上の3点からトビラシステムズ(4441)は成長株(グロース株)投資先として非常に魅力的です。しかし企業の成長には年単位の時間がかかることに留意してください。
あなたの人生の参考になれば幸いです。